持続可能な産地目指して 沖永良部島 スプレーマム短茎規格へ挑戦

2022年07月15日

地域

スマートフラワー規格での出荷に向け、収穫作業をする生産者=7日、和泊町

沖永良部花き専門農業協同組合は7月から、スマートフラワー規格(短茎規格)でのスプレーマム(スプレーギク)の全量出荷を始めた。通常規格より茎を10センチ短くして出荷し、販売業者などでの廃棄物削減や、輸送、生産コストを抑えることなどが狙い。SDGs(持続可能な開発目標)にも配慮した取り組みで、同農協の担当者は「離島の課題とされるコスト削減のきっかけとし、持続可能な産地にしていきたい」と話している。

 

同農協によると、市場や実需者などからは、加工する際のごみ削減に、以前から短茎規格の要望があったという。一方、通常規格を欲しがる市場もあり、「生産者、輸送、小売の3者間でのミスマッチがあった」(同農協担当者)。

 

近年、新型コロナウイルスの感染拡大や肥料、燃料、段ボールなど資材の高騰を受け、その対応策として議論が加速。昨年度からスマートフラワー規格出荷に向けた動きが本格化した。

 

出荷箱を小型化。出荷用コンテナに積載できる本数は約1・2倍に増加し、経費削減につながった。昨年度は盆や彼岸など物日に合わせ、一部をスマートフラワー規格で試験出荷。並行して通常規格を求める市場との協議を進めていった。

 

市場担当者などから、通常規格とスマートフラワー規格の混在で、作業がより煩雑になるとの声もあり、今回、全量出荷への移行を決断した。同農協によると、部会全体でのスマートフラワー規格の取り組みは全国の花卉(かき)産地でも前例がないという。

 

当面は、切り花のボリュームを落とさないため、これまで通り通常規格まで育てた後、70㌢に裁断して出荷する。今後は県や町の協力を得ながら、品質を維持した上での短茎規格栽培技術を探っていくとしている。

 

沖永良部島のスプレーマムは2020年度実績で生産量約1260万本、販売額約5億9千万円。島内切り花のおよそ半分を占める。生産者は28人。

 

同農協菊部会長で生産者の平山信一さん(52)は「全量移行するという上で不安はあった。どこの産地もやっている規格ではない。短茎にすることで、今までより単価が5円、10円マイナスになるというのなら全く意味がない話」とし、「短茎で栽培するということが技術的にできるのであれば、栽培日数が減り、病害防除の回数が減り、電照の打ち切りも早くできることで電気代が減るなどのメリットがある。そこまで行き着いたら本当の大成功だと思う。国内の他産地も同じように苦労していると思う。先駆けというつもりはないが、一つの参考事例になれば」と話した。

 

同じく生産者の末川隆志さん(38)は「不安はあったが、つくった花を使ってもらうためには、自分たちも工夫しないといけない。育てた花を市場やお客さまに一本でも多く届けるための努力だと、切り替えて頑張っていきたい」と力を込めた。

 

同農協指導販売課長補佐の内田真也さん(44)は「一部の葬儀需要がネックにはなっているが、コロナ禍、葬儀は減り、簡略化。花自体もコンパクトにならざるを得なくなっているため、クリアできると思う。コロナをきっかけにホームユース(家飾り)需要が注目されだしている。若い世代にも発信していきたい」と意気込んだ。

関東方面の新盆向けに、出荷作業が進められるスマートフラワー規格のスプレーマム切り花=5日、沖永良部花き専門農協